2010年11月26日 日経 全日版
松山幸弘
キャノングローバル戦略研究所 主席研究員
千葉商科大学大学院政策研究科客員教授
文京学院大学大学院経営学研究科客員教授
日本赤十字看護大学非常勤講師
http://www.canon-igs.org/fellows/yukihiro_matsuyama/index.html
全国における地域医療の崩壊に対する国の取り組み
→ 2009年度補正予算 地域医療再生基金(2350億円)創立
→ 2010年度補正予算 地域医療再生基金に(210億円)追加
地域医療の崩壊 = セーフネット機能を果たすべき「国公立病院」の機能低下、とりわけ「公立病院」で深刻
2010年8月末、日本の病院数8681 ⇔ 米国5815(人口3億超)。このうち公立病院は都道府県立236、市町村立702、合計938(このほかに地方独立行政法人に転換したものは54)。
☆公立病院の収支
地方病院全体の2008年度収支、補助金(運営費繰入金5668億円、資本支出繰入金1841億円)、赤字1845億円、累積欠損金2兆1000億円。(地方公営企業年鑑より)。2009年度は赤字は1070億円に縮小したとのこと。
原因 – 公立関病院係者曰く
赤字の原因は(1)不採算の政策医療、(2)診療法廷のマイナス改定、
☆社会医療法人と公立病院の経営努力格差の源泉
・医師以外の職員給与が民間に比べて非常に高い
・地域住民の医療ニーズと医療提供体制のミスマッチに対する調整能力
・社会医療法人:同じ地域の中で機能の異なる複数の施設を持ち、入院から外来、住宅に至まで医療サービスの品揃えを絵して患者囲い込みに努めている
・公立病院:地域の医療ニーズに不釣り合いな過大投資を行って単独施設経営に安住
☆医療サービス提供の事業形態
日本以外の先進諸国:病院での急性期ケア、予防、リハビリ、介護、在宅ケアなどの医療サービスを提供する事業形態 → 垂直統合:尾となる機能の医療施設が多数参加。
メリット
・医療政策により医療財源配分のratioが変化しても医療事業全体のなかで変化を中和できる、地域医療のための資源配分の医師家底を一元化することで医療ニーズとのミスマッチを解消できる、ミスマッチ解消のよるロスを最小限にするため小規模の医療施設にすることで変化に対応しやすい。
☆社会医療法人と公立病院の事業体形態の差
・社会医療法人:背垂直統合により医療政策変更と医療技術進歩に合理的に適応し、患者囲い込みができている
・公立病院:同じ地域医療圏の中にある病院同士で設備投資競争を行い、医療ニーズの変化に対応できていない。
☆筆者の提案
・国立病院を地域医療圏単位で経営統合して医療公営企業を設置し、新規投資については機能重視でダウンサイジングを進める
・地元開業医との競合は医療公営企業の施設を開放するオープン