2011年3月24日 日経 全日版
震災前は、持続的な年金、医療、介護と財政再建の両立を狙い、
社会保障と税の一体改革のために集中検討会議(菅直人首相議長)で議論したうえで、
4月に社会保障の将来像、6月には消費税増税を含めた税制改革案を示す予定だった。
しかし、震災で、検討会議は停止したまま。
高齢者の急増により2010年度の社会保障給付費は約105億円となっている。
歳入を国債に依存して将来世代に負担を先送りするのも限界に近い。
内閣府の推計では、巨大地震や津波の被害額を、道路、住宅、工場に限定しても、16-25兆円になるという。
消費税5%引き上げが実現すると12兆5千億円の歳入増
しかし、被災地への復旧・復興に巨額の財政投入が必要になる結果、社会保障改革で財政面での制約が強まるのは必至。
4月1日の準備会合では「社会保障給付の重点化をより重視すべき」と有識貨車から選択と集中を求める意見が相次いだ。
税金の追加投入で年金や医療、介護を充実させるという当初の狙いは大震災で一定の修正を迫られる。
今後は医療費抑制や年金水準の見直しなど給付の抑制に改革の重心が移っていく可能性が高い。
コメント:医療費抑制。何処が切られるか考える。
先進的な医療・薬品・検査が認可されにくく、つまり、保健適応とされにくくなるのでは。
それが、医療費全体を俯瞰して、医療コストを下げる可能性があれば認可され、
かえって医療費を押し上げるような類の物は認可されにくくなるはず。
そして、以前から言及しているとおり、間違いなく人件費にも及ぶ。
日本の全体を俯瞰すると、間違いなく今後、所得水準は切り下がる。
こういうファンダメンタルズでは、人件費は聖域化されにくくなる。
日本全体の所得水準の低下で、医療費の抑制で、医学部増員(医師の増員)で、当然、医療界の人件費も押し下げられる。
医療従事者がこの手の話に言及すると間違いなくバッシングされる。
それを嫌ってか、医療従事者の中でも言及する・されるのを極度に嫌う方がいらっしゃる。
確かに生命倫理・医療倫理の上では考慮されるべきでない要素。
しかし、無くものは無い。現実をふまえた議論をしなければ、理想論のみ唱えるばかりになる。
決断の時が迫っている。