平成22年11月22日 日経 全日版
国立がん研究センター研究所は
胃癌や肝臓癌を将来どのくらいの確率で発症するかを予測する技術を開発
検診の受診率の向上や早期治療に繋がる。
大人の肝臓や胃の細胞をもとに、発症確率の判定を試みる手法は世界初。
企業に技術移転し、臨床現場で早期実用化を目指す。
コメント:ゲノム解析からエピゲノム解析に重点がシフトしてきた。
ゲノムのメチル化やヒストンのアセチル化が
遺伝子の発現を修飾することが明らかになってきている。
それが現在脚光を浴びているのは、
iPS細胞やES細胞の研究で分かっているとおり、
後天的なゲノムの修飾が遺伝子発現に影響を与え、
細胞の分化に影響を与えるためである。
不適切なゲノムへの修飾は遺伝子発現の抑制もしくは亢進をきたし、
疾患、たとえば発ガンをもたらしたりする。
ゲノム修飾の状態を明らかにできれば、塩基多形では説明できない
疾患を説明できたり、発症リスクを予測できたりする。
こういうニュースであったが、将来的にあらゆる疾患で
エピゲノム解析が行われることになり、
医学研究者にとっては「飯の種」尽きず、誠に朗報である(これは嫌み)。
■エピゲノム
ゲノム情報の働きが微妙に変化する情報
後天的なゲノムの修飾によりゲノムの立体構造が変化し、
遺伝子情報は変化しないが、遺伝子の発現が変化することにより
細胞の機能に変化を来すようになる。
細胞の異常増殖が起こる癌の多くは、エピゲノムの変化が原因らしい。